【2026年版】「致します」の使い方を徹底解説!「いたします」との違い・メール例文
「よろしくお願い致します」と「よろしくお願いいたします」は、どちらが正しいのでしょうか。ビジネスメールや取引先への連絡で頻繁に使う「いたします」は、漢字とひらがなの使い分けに迷いやすい表現です。結論からいえば、「お願いいたします」「ご連絡いたします」のように、ほかの言葉に添えて謙譲の意味を表す場合は、ひらがなの「いたします」と書くのが基本です。一方、「不徳の致すところ」のように、独立した動詞として「もたらす」「行う」などの意味を表す場合は、漢字の「致す」が適しています。
文化庁の敬語解説や2022年1月にまとめられた「公用文作成の考え方」などを踏まえると、判断のポイントは、相手への敬意の強さだけでなく、言葉が文中でどのような働きをしているかにあります。2026年現在、社外向けメールや正式な文書で迷ったときも、この違いを押さえておけば、表記の揺れを減らし、自然で失礼のない文章を作れます。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 基本の表記:「よろしくお願いいたします」「ご連絡いたします」などは、ひらがな表記が無難。
- 漢字との違い:補助的に使う「いたす」はひらがな、独立した動詞として使う「致す」は漢字が基本。
- 敬語の注意点:「いたします」は自分側の行為を丁重に述べる表現。相手の行為には原則として使わない。
【まず結論】「致します」と「いたします」はどう使い分ける?
「致します」と「いたします」は、読み方が同じでも、文章の中での役割によって使い分けます。ビジネスメールで最も迷いやすいのは、漢字を使うと丁寧に見えるのではないか、という点です。しかし、漢字にすれば敬意が強くなるわけではありません。
実務上は、相手に何かを伝えたり、依頼したりする文章では、ひらがなの「いたします」を基本にすると表記を統一しやすくなります。
「いたします」は補助的な働きをする場合に使う
「いたします」は、「する」の謙譲語である「いたす」を丁寧な形にした表現です。ほかの語と組み合わせ、自分の行為を相手に対して丁重に述べる場合には、ひらがなで書くのが一般的な編集上の基準です。
- よろしくお願いいたします。
- 後ほどご連絡いたします。
- 内容を確認いたします。
- 資料を送付いたします。
- 担当者から改めてご説明いたします。
これらは、いずれも自分側が行う行為を丁重に表しています。漢字の「致します」を使わなくても、敬語としての働きは変わりません。
「致す」は独立した動詞として使う場合に選ぶ
一方、「致す」が独立した動詞として、何かを行う、ある結果をもたらす、心を向けるといった意味を担う場合は、漢字表記が適しています。
- 不徳の致すところです。
- 思いを致す。
- 今日の結果を招いた原因に考えを致す。
特に「不徳の致すところ」は、謝罪や反省を示す場面で使われる慣用的な表現です。この場合の「致す」は、単に文章を丁寧にするために添えられた語ではなく、文の意味を担う動詞です。
ただし、実際の文章では「私が致します」のように、単独で使うかどうかだけでは判断しにくい場合もあります。文全体で「致す」が独立した意味を持っているのか、ほかの語に添えて丁重さを加えているのかを確認するのが確実です。
【敬語の基本】「いたします」の意味と正しい使い方
「いたします」は、単に丁寧な言い回しにするための語ではありません。文化庁の敬語解説では、「いたす」は謙譲語II、別名「丁重語」に分類されています。
謙譲語IIは、自分側の行為や物事を、話し相手や文章の読み手に対して丁重に述べる敬語です。「行きます」を「参ります」、「言います」を「申します」とするのと同じ種類の働きがあります。
「いたします」は自分側の行為に使う
正しい使い方を理解するには、誰が行為をするのかを確認しましょう。
- 適切な例:「私から担当者に連絡いたします」
- 適切な例:「弊社で内容を確認いたします」
- 不自然な例:「部長がご確認いたします」
最後の例では、部長の行為を述べているにもかかわらず、自分側の行為に用いる謙譲表現を使っています。部長が自分より目上の人物で、相手に対して敬意を示したいなら、「部長がご確認になります」「部長が確認されます」などの尊敬語が適切です。
なお、自社の上司や担当者について社外の相手に伝える場合は、相手との関係にも注意が必要です。社外向けの文章では、自社の人を必要以上に高めず、「担当者が確認いたします」のように表現するのが一般的です。
「お・ご~いたします」は正しい敬語なのか
「ご案内いたします」「お待ちいたします」などの表現も、正しく使えば問題ありません。
文化庁の敬語解説では、「お(ご)~いたす」は、行為の向かう先を立てる謙譲語Iと、話し相手に対して丁重に述べる謙譲語IIの両方の働きを持つ形として説明されています。
つまり、「ご案内いたします」は、相手を案内するという行為を、相手に対して丁重に伝える表現です。敬語が二つ組み合わさっているからといって、直ちに誤用になるわけではありません。
ただし、敬語を重ねれば重ねるほど丁寧になるわけではありません。相手の行為と自分の行為を区別し、文全体が自然に読める表現を選ぶことが大切です。
【表記を比較】「致します」と「いたします」の違いを一覧で確認
漢字とひらがなのどちらを使うか判断に迷ったら、言葉の意味と文中での働きを比較してみましょう。文化審議会の「公用文作成の考え方」は、補助的な用法の動詞などをひらがなで書く原則を示しています。公用文向けの基準ですが、一般企業の文章やウェブメディアの表記を整える際にも参考になります。
| 表現・用法 | 推奨される表記 | 意味・使い方 | 具体例 |
|---|---|---|---|
| 依頼や挨拶に添える | いたします | 相手に対して丁重に述べる | よろしくお願いいたします |
| 自分の行為を丁重に伝える | いたします | 行為を表す語に添えて用いる | 後ほどご連絡いたします |
| 独立した動詞として使う | 致す | 行う、もたらすなどの意味を担う | 不徳の致すところ |
| 考えや心を向ける | 致す | ある物事に思いを向ける | 思いを致す |
| 社外向けの一般的なメール | いたします | 読みやすさと表記の統一を優先する | 確認いたします |
| 会社独自の表記ルールがある場合 | 社内基準に従う | 文書内の表記を統一する | 社内の文書作成規程に準拠する |
文化庁の公用文ルールは民間企業にも適用される?
ここで注意したいのは、公用文の表記ルールが、すべての民間企業のメールに法律として一律に適用されるわけではないという点です。
文化審議会が2022年1月7日にまとめた「公用文作成の考え方」は、国の行政機関などが文書を作成する際の考え方を示したものです。文書の目的や想定される読み手に応じて、分かりやすさや親しみやすさに配慮することも重視しています。
また、一般財団法人テクニカルコミュニケーター協会の「JTF日本語標準スタイルガイド」でも、補助的な用法では「いたします」、動詞としての用法では「致す」とする使い分けが示されています。
そのため、社外向けのメールやウェブ記事では、ひらがなの「いたします」を基本にし、独立した動詞の意味が明確な場合には「致す」を用いる方法が実践的です。会社独自の用字用語規程がある場合は、その基準を優先しましょう。
【ビジネスメール例文】失礼のない「いたします」の使い方
「いたします」の使い方は、実際のメールに当てはめると分かりやすくなります。ここでは、依頼、報告、謝罪、日程調整など、仕事でよく使う場面別に例文を紹介します。
1.メールの締めくくり・依頼
取引先への依頼や、メールの最後の挨拶では「よろしくお願いいたします」が基本です。
お忙しいところ恐れ入りますが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。
「よろしくお願い致します」と漢字で書いても意味が大きく変わるわけではありません。しかし、表記を統一する目的であれば、「よろしくお願いいたします」とするのが無難です。
2.確認・連絡・資料送付の報告
自分や自社がこれから行う作業を伝える場合は、次のように使います。
ご依頼いただいた内容を確認し、明日中に改めてご連絡いたします。
資料を添付いたしましたので、ご確認いただけますと幸いです。
後者では、資料を添付した自分側の行為に「いたしました」を使い、相手に確認を求める部分には「いただけますと幸いです」を使っています。自分の行為と相手に依頼する行為を区別すると、敬語の組み立てが分かりやすくなります。
3.謝罪や対応方針の説明
不手際について謝罪する場合や、今後の対応を説明する場合にも使用できます。
このたびはご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。原因を確認のうえ、再発防止に努めてまいります。
お問い合わせいただいた件につきましては、担当部署で確認いたします。回答まで今しばらくお待ちくださいますようお願いいたします。
謝罪文では「いたします」を多用することよりも、謝罪の対象、原因、今後の対応を具体的に伝えることが重要です。敬語が正しくても、何に対して謝罪しているのかが分からなければ、誠意が十分に伝わらない可能性があります。
4.日程調整や打ち合わせの連絡
日程調整では、相手の都合を尊重しながら、自分側の行動を丁重に伝えます。
ご提示いただいた候補日を確認し、本日中に回答いたします。何卒よろしくお願いいたします。
このように、文章の冒頭では具体的な行動を示し、最後に挨拶を添えると、過剰にかしこまることなく、丁寧な印象を保てます。
【誤用に注意】「いたします」を使うときに避けたい表現
「いたします」は便利な敬語ですが、使い方を誤ると、かえって不自然な文章になります。特に注意したいのは、相手の行為に使うケース、敬語を重ねすぎるケース、漢字とひらがなの表記が混在するケースです。
注意点1:相手の行為に「いたします」を使わない
「いたします」は、自分側の行為を相手に対して丁重に述べる表現です。相手の行為を高めたい場合には、尊敬語を使います。
- 不適切:「お客様が確認いたします」
- 適切:「お客様がご確認になります」
- 適切:「お客様にご確認いただきます」
ただし、「ご確認いただきます」は、相手に確認してもらうという意味です。「お客様が確認する」という事実を単に丁寧に伝えるのか、相手に何かを依頼するのかによっても、適切な表現は変わります。
注意点2:「致します」と「いたします」を無計画に混在させない
「ご連絡致します」「よろしくお願いいたします」のように、同じ文書の中で表記がばらばらになっていると、文章全体の統一感が損なわれます。
漢字表記が必ずしも文法上の誤りというわけではありませんが、補助的な用法ではひらがなに統一する方針を採用すると、編集や校正の際にも判断しやすくなります。
注意点3:「いたします」を重ねすぎない
丁寧に書こうとして、同じ文章の中に「いたします」「申し上げます」「させていただきます」などを何度も重ねると、冗長になりがちです。
例えば、「ご説明させていただきたいと思っております」は、状況によっては「ご説明いたします」と簡潔にできます。相手から許可を得て行うことや、相手の恩恵を受けることを特に表す必要がないなら、必要以上に長い敬語を使う必要はありません。
注意点4:「させていただきます」は常に丁寧とは限らない
「いたします」と「させていただきます」は、意味が完全に同じではありません。「させていただく」は、相手の許可を得ることや、その行為によって恩恵を受けることを踏まえて使う表現です。
- 簡潔な報告:「明日、資料を送付いたします」
- 許可を得て行う場合:「ご承認をいただきましたので、日程を変更させていただきます」
すべての文を「させていただきます」に置き換える必要はありません。行為の内容に合わせて使い分けることが、自然なビジネス敬語につながります。
【「申し上げます」との違い】より丁寧な表現を選ぶ基準
「いたします」とよく比較されるのが、「申し上げます」です。どちらも改まった場面で使われますが、敬語としての働きには違いがあります。
文化庁の敬語解説では、「申し上げる」は謙譲語I、「いたす」は謙譲語II(丁重語)に分類されています。前者は行為の向かう先を立て、後者は自分側の行為を話し相手に対して丁重に述べる働きが中心です。
「いたします」は行為を丁重に伝える表現
「ご連絡いたします」「確認いたします」「対応いたします」は、自分側が行うことを相手に丁重に伝える表現です。日常的なビジネスメールでも使いやすく、幅広い場面に適しています。
「申し上げます」は相手に向けた言葉を改まって伝える表現
「お礼申し上げます」「お詫び申し上げます」「お願い申し上げます」は、相手に向けたお礼や謝罪、依頼などを改まって述べる表現です。儀礼的な挨拶や、重要な取引先への文書などで使われます。
ただし、「申し上げます」のほうが、あらゆる場面で必ず正しいというわけではありません。伝えたい内容や文章の目的に応じて選ぶことが大切です。
「よろしくお願いいたします」と「よろしくお願い申し上げます」はどちらがよい?
一般的なビジネスメールなら、「よろしくお願いいたします」で十分に丁寧です。一方、式典の案内、正式な挨拶状、重要な依頼文など、より改まった文体にしたい場合は「よろしくお願い申し上げます」も選択肢になります。
判断の基準は、相手の役職だけではありません。文章の目的、企業の慣習、前後の文体を踏まえて、全体に違和感のない表現を選びましょう。
【プロの結論】失礼のない表記を選ぶための実践ルール
「致します」と「いたします」の違いを理解するうえで大切なのは、漢字のほうが格式高く見えるという印象だけで判断しないことです。表記の選択は、敬意の強弱というより、言葉の働きと文書のスタイルに関わっています。
仕事で迷ったときは、次の3つの基準で確認すると判断しやすくなります。
- 文中での働きを確認する:ほかの語に添えて丁重さを表すなら「いたします」、独立した動詞として意味を担うなら「致す」を基本にする。
- 相手と行為者を確認する:自分側の行為には謙譲表現、相手側の行為には尊敬表現を使う。
- 文書全体の統一を確認する:会社の用字用語規程や媒体の編集基準があれば、それに合わせる。
特に、取引先へのメールを頻繁に作成する人や、社外向けの文書を校正する人は、「よろしくお願いいたします」「ご連絡いたします」「確認いたします」など、よく使う定型表現をひらがなで統一しておくと便利です。
一方、慣用句や独立した動詞の意味を持つ「致す」まで、機械的にひらがなへ置き換える必要はありません。意味を正確に保ちながら、読み手にとって分かりやすい表記を選ぶことが、実務における適切な日本語の使い方です。
【「致します」の使い方】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:「致します」と「いたします」は、どちらが正しい表記ですか?
A1:どちらも文脈によって使われます。補助的に使う場合は「いたします」とひらがなで書くのが基本です。「不徳の致すところ」のように、独立した動詞として使う場合は「致す」が適しています。
Q2:「よろしくお願い致します」は間違いですか?
A2:必ずしも文法上の誤りとはいえません。ただし、補助的な用法をひらがなで表記する方針に沿うなら、「よろしくお願いいたします」が無難です。社内の文書作成ルールがある場合は、その基準に従いましょう。
Q3:「いたします」は謙譲語ですか?
A3:はい。文化庁の敬語解説では「いたす」は謙譲語II(丁重語)に分類されています。自分側の行為を話し相手や文章の読み手に対して丁重に述べる働きがあります。
Q4:「いたします」と「申し上げます」はどう違いますか?
A4:「いたします」は自分側の行為を丁重に伝える表現で、「申し上げます」は相手に向けた行為や言葉を改まって述べる表現です。一般的なメールでは「よろしくお願いいたします」、より改まった挨拶や依頼では「よろしくお願い申し上げます」などと使い分けられます。
Q5:「ご確認いたします」は正しい敬語ですか?
A5:自分側が確認することを伝えたい場合は、「確認いたします」や「こちらで確認いたします」とすると、意味が明確で自然です。相手に確認を依頼する場合は、「ご確認ください」「ご確認いただけますと幸いです」などを使います。
Q6:「いたします」と「させていただきます」は同じ意味ですか?
A6:完全に同じではありません。「いたします」は自分側の行為を丁重に述べる表現です。「させていただきます」は、相手の許可を得ることや、その行為による恩恵を受けることを踏まえて使います。状況に応じて選ぶと、文章が簡潔で自然になります。
まとめ:「致します」の使い方は意味と文脈で判断する
「致します」と「いたします」の使い分けは、漢字かひらがなかという見た目だけで決まるものではありません。補助的に使って丁重さを表す場合は「いたします」、独立した動詞として「行う」「もたらす」などの意味を持つ場合は「致す」を基本にすると、判断しやすくなります。
また、敬語として正しいかどうかを判断するときは、行為者が誰なのか、誰に向けた行為なのかを確認することも欠かせません。自分側の行為には謙譲表現、相手側の行為には尊敬表現を使い分けることが、自然なビジネス敬語の基本です。
社外向けのメールでは「よろしくお願いいたします」「ご連絡いたします」などの表記を統一し、独立した動詞や慣用句では意味に応じて漢字を使う。この基準を身につけておけば、取引先への連絡から正式な文書まで、相手に配慮した読みやすい日本語を選べます。 (出典: 致し ます 使い方(Yahoo!ニュース))